廣嶋玲子さんの『半妖の子』を読んで

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【妖怪の子預かります】シリーズ第4弾、半妖の子の感想を書いていきます

作品名:妖怪の子預かります4 半妖の子
著作:廣嶋玲子
出版社:株式会社東京創元社
発行日:2017年6月16日

【あらすじ】
娘を預かってほしいと化けいたちが連れてきたのは、人間の母親から産まれた半妖の子だった
親子中はよかったが、父が妖怪だと知り心を閉ざした娘、みお
母の死によってそれは余計顕著になり、預かり屋の弥助の所に来た
2人は元の関係に戻れるのか?

目次

『半妖の子』について

序章に本編の触りがあり、1、2章には短編が、3章から本編が始まります

1章は月夜公の尻尾を支える3匹のネズミの話

2章は貸し道具屋で手に入れたい鞠の話です

それぞれ独立している話なのに親子という形で繋がっている話です

内容

化けいたちの父親と人間の母親から産まれた半妖の女の子の話です

自身の父親が化けいたちという妖怪だと知り、自分の半分が人間ではないことに嫌悪するみお

受け入れて貰いたいが、今はそっとしておくことしか出来ないとわかっていたため、みおは弥助の所へ預けられます

初めは口を閉ざしていたみおがだんだんと妖怪たちに慣れ、弥助の手伝いをするようなっていく姿にみおの優しさを感じました

預けてからずっと顔を出さなかった父親が登場すると弥助は責めますが、みおが嫌がると思い、見守っていたと語ります

娘を何よりも大切にしているのが伝わってきました

そんな忙しない日常が変化するのが7章に入ってからです

ある尼との出会いが、みおに救いと弥助への不信感を抱かせます

ここからは話はとんとん拍子に進みます

みおは妖怪を受け入れて、父親と仲直り出来たのか?

まとめ

今回のお話は親子の愛情には様々な形があることを知るお話でした

本編や1.2章含めて親子の繋がりを感じます

もちろん、化けいたちの親子以外にも、弥助と千弥、津弓と月夜公、久蔵と母親など、少しの会話から見える互いへの思いやりを感じました

もちろん思いやり以外にも憎悪などの感情を持ったお話もありましたが、それがより、化けいたちの親子を仲良くみせていました

新しい妖怪

前とは異なる新しい妖怪が登場します

知らない妖怪がたくさん出てくるので、名前や話し方から想像がとても膨らみました

個人的に4章に入ってすぐに預けられる妖怪が好きでした

きっと自分にもこの子憑いてるわと思いながら読んでいました

次回

お話の終わりに久蔵が太鼓長屋へ駆け込んできます

「助けてくれ、千さん!弥助も!」

妖怪の子預かります4 半妖の子 p220

一体何があったのか?

弥助にまで助けを求めるなんて、よっぽど切迫詰まってますね

今から続きが楽しみです

ネタバレ含む感想

ここからはネタバレを含む感想になります

ご注意ください

1章

月夜公が登場すると、よく出てくる尾を支えるネズミの描写

月夜公が怒ると振り回されて大変だと思って読んでいた3匹のネズミは、月夜公によって作られた式神でした

元々紙でできた彼らに術をかけ、世話をさせている月夜公

世話をしているうちにネズミたちは心を持ち、思いが芽生え、欲が生まれ、情けをかける相手が欲しいと思うようになり、子が欲しくなった

そう語る彼らが子を預けにきます

その子をめぐるお話です

こちらのお話では、人間と妖怪の年月の差を感じたり、ツンデレな月夜公を見たりと、短い中に色々な関係性が見えます

2章

預かる子妖怪の為によく貸し道具屋へ行く弥助

今回はその貸し道具屋で処分されそうになっていた手鞠に違和感を覚え持ち帰ったのが始まりです

とても綺麗な毛鞠になぜ違和感を覚えたのか?

毛鞠の過去について語られます

そして問題の解決法がとても斬新でした

本編

化けいたちの親子愛を感じるお話ですが、弥助の日常やみおの優しさにも沢山触れています

なにより今回はごはんの描写が多いなと思いました

ご飯の献立を考える弥助につられて、お腹が空きます

もちろんそんなほのぼのした一面とは別にどんどんお話は進んでいきます

弥助に不信感を抱いたみおは一人で尼へ会いに行きます

みおが尼と共に行こうとした所で弥助が止めに入り、尼は本性を現し二人をさらいます

みおを役に立つをいう理由で攫った尼、その行動の裏には嫉妬が隠れていました

あたしが狙うのは不幸な人間じゃあないのさ。人一倍恵まれてるのに、自分の幸せに気づいていない欲張りな人間が獲物なんだよ。

妖怪の子預かります4 半妖の子 p196

みおは人間ではありませんし、いつか妖怪を手に入れたいと思っていたと尼は語っています

ですが、澪をさらった一番の理由は幸せそうだったということだと思います

尼は最後には倒されてしまいますが、とても寂しい物でした

今まで悪事を働いてきた分、因果応報と言えばそれまでですが、とてもあっけないものでした

助け出された後、みおの父である宗鉄と弥助の保護者の千弥、それぞれの立場に立った掛け合いが余計それまでのギャップを広げる物でした

幸せな者、不幸な者、自分が思っている立場と他人から見える立場は全く別であると考えさせられるお話でした

次回は許嫁が攫われたと駆け込んできた久蔵のお話です

どんな展開になるのかとても楽しみです

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この記事を書いた人

シンプルライフに興味がある三児の母
片付けのこと、子どものこと、お金のこと等を備忘録として綴っていきます

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