【感想】茉莉花官吏伝12ー歳歳年年、志同じからず

※途中からネタバレを含む感想があります。
　まだ読んでいない方、ネタバレを好まない方はご注意お願いします。

あらすじ
傭兵を雇うことに成功した茉莉花はムラッカ国の作戦を先読みし、最小限の被害で済むように行動して行く。指示を出す上でアシナの信仰を得ようとするが、茉莉花が思っている以上にアシナの信仰心を集めてしまい、、、

〈茉莉花シリーズ第12弾〉歳歳年年、志同じからず

今回は前回からの続きのお話となります

初めのほうにザッとどんな流れかは書いてありましたが、前の巻を読んだらすぐにコチラの巻を読むことをオススメします

内容を忘れると言うよりは、気持ちが落ち着く前に読み始めて欲しい始まりでした

内容

ムラッカ国が攻めてきて、友人を守りたい気持ちや情報戦で先を越された思いから茉莉花は禁色を使った小物で傭兵を雇いムラッカ国と対峙します

もちろん戦う事に向いていない茉莉花は参謀役ですが、見事に茉莉花の言葉通りに事が進んで行くため、近くに居れば居るほどその凄さを実感していきます

その凄さを一番に感じたのは軍事顧問官のアシナリシュ・テュラでした

自身の作戦が通りやすくするため、信仰を得るように動いた茉莉花でしたが、大きくなり過ぎたアシナの信仰により、傭兵にならず祖国に帰ることに猛反対されます

アシナを突き放そうとして逆に囚われてしまった茉莉花

どうやって白楼国へ帰るのか

感想

ムラッカ国との戦いを前半、戦い後を後半にしました

前半

前回、危機的状況で終わったので続きはどんな風に進んで行くのか色々と想像していましたが、想像よりも戦争の方はあっさりと解決していました

一冊ほぼ全て茉莉花の奮闘記になるかとおもっていたのですが、半分ほどでムラッカ国との戦争の話は終わります

もちろんその半分で茉莉花はとても活躍していましたし、その活躍があってこそ後半のアシナとの話に繋がってくるので、独占場と言えるくらいの大活躍でした

後半

間諜としてある程度情報を集めた茉莉花は白楼国へ帰ることにしました

もちろん自身が白楼国出身とは言っていないため、母の国（赤奏国）へ帰ると言って別れを告げますが、それに猛反対したのはアシナでした

情報漏洩を防ぐ為というのはもちろんでしたが、茉莉花がいれば良き方向へと導いてくれるという期待がすごかったです

一時は危なかった茉莉花でしたが、ある人物に助け出されます

その人物との会話と、後々出てくる珀陽との考え方の差はギャップがあり楽しかったです

久々の珀陽の登場にこんな感じだったっけ？と違和感を持ちつつ読んでしまいました

後半は沢山の人物が登場するし豪華な感じになっています

戦争からかけ離れた感じが日常に戻っているようで良かったです

次回

バシュルク国での活動も終わり、無事帰国できた茉莉花ですが次には何が待っているのか？

大きな問題も起こらずこの巻が終わってしまったので、白楼国の官吏としての日常が書かれるのか、珀陽との恋が語られるのか全然分かりません

感想（ネタバレあり）

ここからはネタバレありの感想になります

まだ読んでいない方、ネタバレNGの方はご遠慮ください

ムラッカ国との戦争

ムラッカ国との戦争で茉莉花が一番の活躍を見せるのは交渉時でした

ジャスミンではなく白楼国の皓茉莉花としてムラッカ軍の将軍、ケルキーム・エフラムと対面します

もちろん護衛として雇った傭兵を連れていきますが、それもムラッカ語が話せる人にして自身は変な動きをしていない証明のように立ち回ります

そして潜入を手伝ってくれた赤奏国とサーラ国に恩を売る（返す？）のも忘れず行動します

急に出てきた関係のない二か国にアシナが疑問を感じても、自身の母国で具体的な話がしやすく、白楼国の優秀な文官なら・・・とさらさらと答えを述べていきます

息を吐くようにスラスラと嘘と真実を混ぜ合わせていく茉莉花は、前回までの罪悪感を感じていた頃より成長しています

アシナとの対峙

ジャスミンが傭兵にならないと言ったら？とイルの質問に対しアシナは

それでも他国に行くというのであれば、ー…いっそ、殺してしまった方がいいかもしれませんね

茉莉花官吏伝十二　歳歳年々、志同じからず　ｐ141

と、物騒な返答を返します

ジャスミンへの信仰心をしっかり持っているアシナですが、危険性もしっかりと意識して答えています

内側（イネン）について知り
石橋の構造について知り
傭兵について知り
いろいろ知った茉莉花ですが、何より他国に行かれることを何よりも恐れています

茉莉花の有用性についてとても盲目的になっていました

苑翔景といい、茉莉花は実力を見せると熱狂的な人が寄ってきますね

アシナとの決着はサーラ国の司祭、ラーナシュと話して答えを決めます

ラーナシュ良い事言うなと思って読んでいましたが、司祭だからいう事をいうわけではなく、ラーナシュがそういうキャラクターなんでしょうね

同じ司祭でもシヴァンは寄り添って答えを一緒に考えてくれる感じではなく、突き進む感じがしますので・・・

このあとシヴァンも一言ぐらいでしたが、登場していました

個々の信仰の重さ

アシナの信仰を浴び、信仰とはこんなに重いものなのかと実感した茉莉花

会う人たちにも信仰について聞いていき、とらえ方は違うが重いという部分は共通していました

ただ一人、珀陽を除いては・・・

重くないよ。意識したこともなかった

茉莉花官吏伝十二　歳歳年年、志同じからず　ｐ222

ここから始まる珀陽の考える信仰についての表現がとても面白いです

今まで散々、重い重いと言っていた問題に全く反対の返しをする珀陽

ぜひぜひ、本を読んで茉莉花との掛け合いを楽しんでください

次回

茉莉花が有能な文官になり、お見合いの釣り書きが山のように珀陽の机の上に積まれていく場面でお話は終わります

今後は茉莉花を取り巻く恋愛についてなのでしょうか？

恋愛面の進展がない両想いを確認しているだけの二人に進展はあるのでしょうか