廣嶋玲子さんの『猫の姫、狩りをする』を読んだ感想

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こんにちは、麻です

今回は、【妖怪の子預かります】シリーズ第6弾、『猫の姫、狩りをする』を読んだので感想を書いていきます

作品名:妖怪の子預かります6
猫の姫、狩りをする
著作:廣嶋玲子
出版社:株式会社東京創元社
発行日:2018年7月13日

目次

『猫の姫、狩りをする』について

【あらすじ】
王蜜の君は人間との生活を試してみようと、弥助の所で子猫として過ごすことにした。
そんな中、猫のかかわる事件が起き、猫の守り手である王蜜の君が事件を解決するが、事の始まりは別の人物で・・・

今回のお話は猫がメインのお話です。

本編と短編、あとがきで構成されています

本編は6個のお話から出来ています

内容

王蜜の君が化け猫のりんを助け、

(前略)このままわらわのそばに仕えぬかえ?

猫の姫、狩りをする p36

という申し出に対し、ごめんなさいと断られたことから、人間の傍で暮らしてみようと思い立ちます

弥助の所へ行き自身を預かってほしいと子猫に変身して、白蜜と呼んでくれと居座ることに

もちろん千弥は反対しますが暖簾に腕押
はれて王蜜の君は白い子猫の白蜜として居候となりました

ただの子猫として過ごすはずの王蜜の君ですが、人間に話しかけてしまったり、子猫の姿でも強すぎる妖力に玉雪は正体を理解し近くにいると息苦しく感じることから、弥助の所への向かう回数が減ったりして、弥助の生活を変化させます

そんな我が道を行く王蜜の君ですが事件に遭遇します

初めはそれほど大きくなかった事件ですが、だんだんと大きくなり、いつの間にか江戸中で噂されるような規模になっていました

猫が絡んだ事件に猫の守り手である王蜜の君は1つづつ事件を解決しながら、事件の真相を探っていきます

感想

今回は王蜜の君が主人公!と思いきや、本編を分ける6つのお話には別の主人公が存在します

6つのお話の全てに王蜜の君(又は白蜜)が登場するので、全体で見たら王蜜の君が主人公です

お話は秋から新年にかけてのお話になっていて、それぞれのお話でしっかりと季節感を感じました

個々のお話は1つ1つ完結しており、短編としても楽しめます

1つ1つのお話が重め

どのお話にも猫が出てきますが、前巻(妖怪姫、婿をとる)とは違い、全員が幸せで終わる話ではなく、出てくる猫が死んでしまったり、捨てられてしまったりします

そして捨てられたり、死んだりするのは猫だけではありません

猫も妖も人間も関係なく波乱に巻き込まれていきます

円満に終わる話もあれば、胸糞展開に鬱々した気持ちになり最終的にざまぁで終わるお話も

バラエティーに富んだラインナップになっています

なので、好きな話もあれば苦手な話も出てくると思います

好きではない話を読まなくても大まかな展開は掴めるとは思いますが、少しずつ繋がっているので、飛ばして読むと少しもったいないと感じます

 ●廣嶋玲子さんの「妖怪姫、婿をとる」を読んだ感想

「妖怪姫、婿をとる」の続きのような内容も

「妖怪姫、婿をとる」で無事3つの試練を乗り越えた久蔵ですが、その後のような話が出てきます

3つ目の試練が堪えたのでしょう、久蔵にはどうしても叶えたい願いが出来ました

もちろん、あちこちの神社に願掛けしまくってるとも。(中略)ここは、妖怪からも力を借りたいんだよ。(後略)

猫の姫、狩りをする p215

そこまでして叶えたい願い!

気持ちはわかるけど・・・そこまで駄々をこねることなの!?
と、子どもっぽい言動に一緒に居た弥助が可哀そうになりました

もちろん、願いがどうなったのかまでバッチリと書かれています

次回

今回のお話にはあとがきがあり、次回は「妖怪姫、婿をとる」で出てきた烏天狗の双子を中心とした物語のようです

前回出てきた時は仲が良い双子でしたが、彼らがどうなるのでしょう?

どんどん新しいキャラクターが出てきて、弥助たちの存在感が薄れていきます

次回はもう少し活躍するかと期待です

ネタバレ含む感想

ここからはネタバレを含む感想になります

ご注意ください

6つのお話

今回のお話は本編「猫の姫、狩りをする」が6つのお話に分かれ、そして短編「猫めぐり」が後に続きます

1.三毛猫りん
2.根付猫の漁火丸
3.半妖みおと姥猫
4.猫じゃらし
5.守り猫虎丸
6.猫結び

各話の題名からわかるように全てに猫が登場します

1.三毛猫りん

お母さんに会いたくて、その気持ちを抱えたまま亡くなり化け猫になったりんが久しぶりに登場します

りんが猫の集会へ向かっていると、河原から赤子の鳴き声が聞こえます

子をあやす親の声が聞こえないことに疑問を覚え、声のする方へ向かうと石の上に赤子が捨てられていました

一体だれが赤子を捨てたのか、今後赤子がどうなるのか

りんが犯人を捕まえようと奮闘します

2.根付猫の漁火丸

老舗の蝋燭屋に婿入りした男

婿入りしたのが運の尽きかのように、婿イビリを受け神経をすり減らしていたある日、ふと池に身投げしようかと考えていた

そんな男に声を変えたのは白い子猫、白蜜(王蜜の君)だった

猫に話しかけられて驚いた男であったが、それよりも嫁ぎ先の面々の方が怖いと白蜜と話を続けました

その風景に驚いたのは一緒に来ていた弥助で、早々に家に引き返し白蜜に注意をするが気にする素振りも見せず、男の情報を収集した

男の事情から会うのを控えるように言われましたが、約束したからと最後に1度だけと弥助は男と会うことに

その時に白蜜から男に渡して欲しいと頼まれた物を渡しました

それにより男は少しづつ変わっていきます

3.半妖みおと姥猫

みおは弥助の元へ行こうと夜道を走っていたら足を怪我してしまう

そこに現れたのは厳つい顔の浪人で、怪我を治療してもらい弥助の家にも送ってくれる心優しい人でした

その浪人の家には子猫が4匹居ました

日中は家にいないので時々面倒をみてくれると助かると言われ、みおは浪人の家へ通うようになった

そんなある日、猫を引き取りたいと言う女が現れたが、様子が変で・・・

4.猫じゃらし

梅吉と津弓、悪たれ二つ星と呼ばれる2人が白蜜と一緒に人にイタズラをするお話

弥助を尋ねた梅吉だったが、弥助は留守で代わりに白蜜がいた

白蜜の正体を知らない梅吉は一緒に月夜公の屋敷へ行き、屋敷に閉じ込められている津弓を連れ出そうと持ちかける

その話に乗った白蜜は梅吉と共に月夜公の屋敷に忍び込み、見つかることなく津弓を連れ出した

その後やってみたい遊びがあると人間にイタズラすることを梅吉が提案し、白蜜と津弓はその話に乗った

初の伝聞ではない悪たれ二つ星のお話です

5.守り猫虎丸

白蜜がいるせいか、なかなか弥助の所へ行けない玉雪はある辻道で1匹の迷子の猫を見つける

猫は家を守る猫で家に帰りたがっていた

玉雪は家まで送ってあげるも家には魔除けの札が貼られており入ることが出来ない

弥助に手伝ってもらおうと動いた先で久蔵に会い、久蔵に手伝いを求めた

玉雪と久蔵が手を取り合い奮闘するお話です

6.猫結び

猫を使った噂を作った人物のお話です

王蜜の君は猫を使う噂の出所を探していた

今まで事件を起こした人物の共通点を見つけて、1人の人物を突き当てた

その人物と対峙する王蜜の君

なぜ噂をばら撒いたのか、なぜこれまでの事件が起こったのか、全ての物語の結末です

短編猫めぐり

噂も無事収束し、王蜜の君も居候を止め、日常を取り戻しつつある日に里親が見つかったはずの2匹の猫が弥助の元に戻ってきた

他の里子に出された猫も心配になり、様子を見に行く途中、久蔵と会う

なんでも叶えたい願いがあるとかで、神頼みだけではなく妖怪にも頼もうとする久蔵に呆れる弥助

そんな久蔵は弥助の猫の話を聞き、そして町中で会った(半妖みおと姥猫に出てきた)浪人の話を聞き、王蜜の君が願いを叶えてくれると信じて下心いっぱいで里親を探します

王蜜の君は久蔵の願いを叶えてくれるのか

まとめ

全ての話に王蜜の君が登場し、事件を解決していきます

全ての猫は王蜜の君を敬い、王蜜の君は猫を守る

それがよく分かるお話でした

本の表紙のめくってすぐに話のあらすじがあります

我ら猫のあやかしの、人のそばにいたがるものの多いことよ。人とはそれほどに良いものであろうか。

猫の姫、狩りをする 

その言葉の通り今回は猫と人のセットのお話です

前の話では妖怪と人間の利害関係が一致して事件が発生していましたが、今回は人間の悪意だけで事件が発生します

それも発生は1つの噂から

猫が使われる噂、猫の守り手である王蜜の君が動かないはずもなく、絡み合いながら事件は進みます

最後対峙する時、猫の王としての王蜜の君と趣味を堪能する王蜜の君の混ざり方がとても好きでした

怖い、恐ろしいという描写の多い王蜜の君ですが、とても自分に素直という印象を受けました

今まで謎に包まれていた王蜜の君を堪能しできるお話でした

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この記事を書いた人

シンプルライフに興味がある三児の母
片付けのこと、子どものこと、お金のこと等を備忘録として綴っていきます

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