廣嶋玲子さんの妖怪の子預かります7『妖怪奉行所の多忙な毎日』を読んだ感想

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※下の方にネタバレを含む感想を書いています。
ネタバレが嫌な方、まだ読んでいない方、お気を付けください。

今回は、【妖怪の子預かります】シリーズ第7弾、『妖怪奉行所の多忙な毎日』を読んだので感想を書いていきます

作品名:妖怪の子預かります7
妖怪奉行所の多忙な毎日
著作:廣嶋玲子
出版社:株式会社東京創元社
発行日:2019年1月11日

目次

『妖怪奉行所の多忙な毎日』について

【あらすじ】
烏天狗の筆頭である飛黒の双子の息子、右京と左京は妖怪奉行所での仕事を見学することになった。奉行所でいろいろな場所を見学・体験するなか、持ち込まれる数々の事件も目撃する。そんな日々持ち込まれる事件の陰で大きな事件が計画されていた。

今回のお話は飛黒の息子、右京と左京を中心に進んでいきます

本編と短編、あとがきで出来ていて、本編は8つのお話に分かれています

内容

烏天狗一族が様々な仕事を行っている妖怪奉行所

そんな烏天狗の筆頭で月夜公の右腕である飛黒が双子の息子に提案をした

「右京、左京、今日は父と共に奉行所に行ってみぬか?」

妖怪奉行所の多忙な毎日 p19

喜び返事をした双子だったが奉行所で月夜公と会い、見学する前に津弓の所へ行くことになった

三人は仲良くなり、共に奉行所を見学したり、奉行所へ持ち込まれる様々な事件に遭遇し、解決したり失敗したりして成長していく

そんな充実した時間を過ごしていた陰で一つの計画が着々と準備されていた

計画が実行され、大きな事件が起こり、標的になったのは津弓と弥助だった

感想

今回のお話、次回に続くものでした

え!ここで終わるの!?と、いい所でお話は短編へと移っていきます

本編は右京と左京、そして時々津弓が事件に遭遇したり、事件だと思い捜査したりと奉行所でのお仕事を頑張ります

その時々で入る不穏な動きが大きな事件へと発展します

料理回?

ちょこちょこと料理の描写が出てきますが、今回は1から説明しながらお菓子を作るお話がありました

人の家の台所で、料理の経験がない子どもと、材料から作る料理!

自分だったら絶対無理です

弥助が手を貸しながら作っていく作業工程に、弥助の子育てスキルを感じました

子どもの成長を手助けする母のような接し方に、こんな母親になりたい!

面倒見の良さを知れて、ますます預かり屋向きだなと感じました

短編は青兵衛大活躍

短編は萩乃と青兵衛を中心にお話が進みます

そんな短編の名は
「蛇の乳母、薬膳鍋に奔走す」

題名通りのお話になっていました

ただ想像していた薬膳鍋より大分ハードは奔走ぶりでした

萩乃の思い、青兵衛の忠誠心がよくわかるお話でしたが、喜劇なのか悲劇なのか、1つのお話の中でアップダウンがとても激しかったです

笑あり涙ありで読めるお話でした

次回

次の巻では、今回の本筋、大きな事件が始まったところからの続きです

あとがきには千弥と弥助が主役として戻ってくるとありましたが、一体どのような活躍を見せてくれるのか、それとも危険に見舞われるのか、今からワクワクしています

今回の登場人物欄に波乱を巻き起こした妖怪の絵がなかったので、その妖怪が次の巻では描かれると思うと、期待が膨らみます

次回のお話が楽しみです

ネタバレ含む感想

ここからはネタバレを含む感想になります

ネタバレがお嫌いな方、まだ本書を読んでいない方、ご注意ください。

本編「妖怪奉行所の多忙な毎日」

お話は本編、短編、あとがきで出来ていますが、本編は8つの体験からできています

残念ながら8つに別れたそれぞれ話に副題はありません

本編の主役は烏天狗の右京と左京

彼等が妖怪奉行所に持ち込まれる事件や、仕事を体験していきます

「欲するもの」

本編が始まる直前に短い文章である人物の心情がかかれています

双子たちが体験するお話に沿いながら、ある人物の計画が進み大きな事件へと発展します

その出発地点を表すものになっていました

1(双子と津弓の出会い)

父親の飛黒に誘われて妖怪奉行所へ見学にきた双子の息子、右京と左京

見学を始める前に月夜公と会い、津弓と遊ぶよう命じられた

津弓のところに行くと弥助もいて4人で楽しく遊ぶことに

遊んでいる途中で弥助は庭でよもぎを見つけ、蓬餅を作ることした

初めて蓬餅をつくる子どもたちは一生懸命に弥助の言ったことを行います

途中、手持ち無沙汰な子を見つけてお手伝いをお願いするところに凄く保母さん感を感じました

弥助はきっと良いお母さんになれます

2.(夫婦喧嘩)

二度目の奉行所見学へ行った双子は一羽の慌てる雄鶏と遭遇します

雄鶏はよく奉行所へ駆け込むらしく、奉行所では恒例行事のような対応でした

雄鶏が奉行所へ来たのは夫婦喧嘩で女房から逃げるため、
しかもその夫婦喧嘩の原因を作ったのは雄鶏の浮気でした

毎度のことに呆れる烏天狗たちでしたが、今回は双子や津弓が居り、いつもと違う展開に発展し大慌てになります

夫婦喧嘩の原因はどこも変わらないと思いながら読みました

問題が起きてから解決までの韋駄天のような早さに妖怪も江戸っ子なのかしら?と笑ってしまいました

3.(図書整理)

奉行所の書庫を手伝うことになった右京、左京、津弓

言われた仕事をしていると破られた本を発見した

破られた本について推測していたら、本を破った犯人が知り合いかもしれないことに気づき、報告せず犯人を探すことにした

本を破ったのは想像した人物だったのか確認しに相手の所へ行きます

このお話では内面的な成長を感じました

失敗し、反省し、悔やみ、詫びる

報連相の大切さや、失敗してからの行動など学ぶことが多いお話でした

4.(緊急呼び出し)

非番の日の朝から鳴った緊急呼び出しの音

息子たちと遊ぶ予定を立てていた飛黒は残念に思いながらも、子と一緒に奉行所への向かった

呼び出しの理由は淵の主の脱皮を手伝って欲しいというものだった

右京、左京もお手伝いをします

奉行所へ出入りするようになって初めて父親の指揮を目にする双子のはずですが、それについての描写はありませんでした

いつもすごく父を尊敬している右京、左京なのであえて書く必要はないと省いたのかもしれません

それよりもこの話は忙しく、短いのに情報量が多いお話でした

「堕ちるもの」

始めの「欲するもの」と同じ人物の話になります

今度は心情だけではなく行動を起こしている文章でした

右京と左京がお仕事を頑張る裏で計画が実行されていました

5.(武芸大会)

双子から淵の主の脱皮を手伝った内容の手紙をもらい、自分も参加したかったと駄々をこねる津弓を宥めるため、月夜公は烏天狗の武芸大会を開くことにした

武芸大会は3つの種目に分かれており、それぞれに景品が用意された

景品は月夜公が用意し、飛黒は審判役を務めた

大会はつつがなく終わりましたが、若い烏天狗たちの頑張りよりも、飛黒萩乃夫婦の仲の良さと萩乃の母親らしさがわかるお話でした

飛黒は妻の萩乃に大会を見に行くと言われ、活躍する姿を見せられないことを残念がっていました

萩乃のもちろん活躍を見られないことを残念がっていましたが、それよりも津弓や月夜公へ対して母として挨拶する姿のほうが印象に残りました

初音を娶った久蔵に対して厳しかった萩乃ですが、乳母以外の一面は新鮮でした

そして久蔵だけではなく妖怪共通の認識でおっかない相手のようです

6.(牢屋見学)

武芸大会が終わり、誇らしそうなニヤけそうな空気を醸しだす奉行所の烏天狗たち

鍛冶場見学の後、牢屋を見学することになった

牢屋は月夜公の術により特殊な構造になっていて脱獄は不可能と言われていた

だが、見学中に脱獄が起きていたことを発見する

ある人物が計画していたことが、ここに来て実行されていたと発覚しました

今までのお話に登場していたものが少しずつ積み上がって脱獄を成功させていました

脱獄させたのは誰で、脱獄したのは誰だったのか

このお話では脱獄させた人物だけ特定されます

7.(預かり屋襲撃)

預かり屋では津弓と梅吉が久々の再会を喜んでいた

二人が合うと碌なことをしないと月夜公が合わせなかったため久しぶりの再会となった

たくさん遊んだその晩、右京と左京が預かり屋へやってきた

双子は牢屋で何があったのかを語り、その場にいた者を驚かせた

そこにごめんくだされ!との声がかかり、現れたのは、、、

双子たちが脱獄について弥助たちに話して聞かせている時、弥助の元を訪れた玉雪も事件について知っていました

脱獄騒ぎは周知の事実となっているようです

そんな中で預かり屋を訪れた人物

話は不穏な方へと進んでいきます

8.(脱獄したのは)

月夜公が津弓を心配し、預かり屋に突撃します

そこで襲撃のことを知り、脱獄した人物について語ります

脱獄した人物と月夜公との関係、それにその人物がどんな罪を犯しのかを語ります

それに加え、なぜ襲撃したのかについても判明しました

この人物、『妖たちの四季』で一瞬存在が出てきました

ですが、ホントに流すように話が進んでいたので、こう繋がってくるのは予想外でした

短編 蛇の乳母、薬膳鍋に奔走す

初音のつわりも収まり、滋養のあるものを食べさせなければと使命感に燃える萩乃

青兵衛を連れて、王蜜の君、月夜公、霊山へと赴き、身体に良い物を集めます

ですが、集めたいものは一筋縄ではいかず、、、

薬膳鍋のために、奔走します
題の通りです

ですが、奔走の度合いは萩乃ではなく青兵衛の方が大変そうでした

主従関係がよく分かるお話になっていました

まとめ

烏天狗の双子、右京と左京そして津弓のお話でした

二人、または三人が頑張るお話に不穏な動きをする人物

脱獄した後に、どのように準備し脱獄したのか説明されますが、今までのお話に少しずつ絡んでくるので、それを踏まえて2周目を読むとまた違った視線でお話を楽しめます

今回好きだったお話は4つ目の脱皮のお話でした

このお話には玉雪が出てくるのですが、意外に広い玉雪の交友関係に驚きました

回を重ねるごとにより良さを知るキャラクターです

短編では、萩野の行動力に驚きました

初音ためなら大妖に会うのも厭わない行動力、とても良いと思います

さて、次回は千弥と弥助が活躍する回(だと思います)

「(前略)たとえ月夜公の手を借りなくたって、おまえを守る方法はいくらでもある。……必ず守るから、安心しなさい」

妖怪奉行所の多忙な毎日 p207

千弥が弥助を安心させようと言葉にしますが、弥助は不安を覚えます

一体、千弥は何をしようとしているのか、千弥の行動に注目です

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この記事を書いた人

シンプルライフに興味がある三児の母
片付けのこと、子どものこと、お金のこと等を備忘録として綴っていきます

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