【感想】茉莉花官吏伝14ー壺中の金影

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*ネタバレとなる内容が含まれます。

今回は、茉莉花官吏伝14『壺中の金影』の感想です

作品名:茉莉花官吏伝14
壺中の金影(こちゅうのきんえい)
著作:石田リンネ
出版社:株式会社KADOKAWA
発行日:2023年3月15日
定価:690円(税抜)

目次

『茉莉花官吏伝14』について

前回の終わりに商工会を崩壊させる話を珀陽と茉莉花がしていました

今回はどうやって崩壊させるのか、という話と思いきや・・・

【あらすじ】
子星と茉莉花、そして飛び入り参加した翔景は商工会を改革するための勉強会を開いていた
だが、具体的な案を話し合う前に茉莉花は安州へと視察へ行くことになった
視察の目的は運河建設の報告書の不備を埋めるという簡単なもの
準備を行い安州へ行った茉莉花だったが、視察とは関係のない事件にばかり遭遇してしまう

内容

始まりは月長城と商工会の関係についてや、なぜ改革が必要かなどを勉強会という形で茉莉花、子星、翔景が話し合いをしていました

ですが、具体的な案を発表する前に茉莉花は運河工事の視察のため白楼国の西部に位置する安州へ行くことになってしまいました

視察先の安州では着いて早々、州牧の大切な椀が盗まれたと泥棒騒ぎが起きていて、犯人探しをすることになります

事件を無事解決し、視察を終えて月長城へ帰るはずが、州牧が賄賂をもらい豪遊している事実に気づいてしまう

今回の視察とは関係ないが運河工事に支障が出ることを危惧し、少し調べることにした

感想

前回の終わり方から商工会の崩壊という物騒な展開を予想していましたが、早々に安州への視察となってしまいました

湖州と同様、普通の州牧とそんな州牧に呆れている州牧補佐

今回は州牧補佐と力を合わせて事件を解いていくのかと思いきや、そんなことはなく翔景と合流しました

翔景との合同捜査

御史台の仕事で来ていた翔景とばったり安州で遭遇した茉莉花

情報を共有して合同で捜査を行うことになりました

荷馬車を借りての移動をすることになったのですが、整備されていない道を通るため揺れが激しく体調を崩した翔景

大丈夫か問う茉莉花に翔景は答えられず、

「喋れないほど酔っているのなら、早めに言ってください・・・・・!(後略)」

茉莉花官吏伝14 p144

世話を焼く茉莉花と真顔なのに取り乱している翔景の組み合わせは今が捜査中だと思わせないテンポの良さがありました

このシーンには挿絵もあり、口に手を当て俯いている翔景と頭をかかえる茉莉花にクスっとなってしまいます

茉莉花を気づかう珀陽

茉莉花が安州へ行ったあと、珀陽と大虎が話す場面で今回の安州への視察は珀陽が茉莉花へのご褒美として任命したとの話が出てきます

「茉莉花は善良な人間だ。(中略)花娘のときに色々がんばってくれたから、これはそのご褒美」

茉莉花官吏伝14 p127

もちろん、珀陽は茉莉花を思っての行動です

確かに茉莉花は道中に人助けを沢山して満足感を得ています

ですが、自分だったら普通に休暇が欲しいという大虎に激しく同意してしまいました

ただ茉莉花の満足感を得る以外にも目的はあるようなのですが、早く結果が出るように珀陽に動かされている感じがしました

商人と商人の娘

今回のお話は、視察へ行く前そして行った後で花娘役をやった際に知り合った商人と出会います

商人からの賄賂に気を付けていた茉莉花は、本当に商人が渡したかった賄賂には気づかず、全てが終わった後にネタバラシのように伝えられます

それに対して商人は恐ろしいと感想を抱く茉莉花

ここで、ふと疑問に思ったのは茉莉花の出生でした

田舎の商人の娘だった茉莉花ですが、自身の親はどうだったのか?など、普段お話しに出てこない部分が気になりました

今後、商工会を改革する際に商人の娘っぽい一面が見られたりするのか楽しみです

次回

大きな事柄へ移る前の小休止のように感じるお話でした

次回、どのように立ち回るのか
期待をより高めてくれるお話です

ですが、最後の最後にまさかの部署移動!

これが今後どのような展開へ繋がっていくのか、それともまた商工会とは異なるお話が入るのか分からない状況です

新たな部署でどのように活躍するのか、今からとても楽しみです

ネタバレ含む感想

ここからはネタバレを含む感想になります

ご注意ください

本書は序章・終章を含む全6章とあとがきによって構成されています

序章

茉莉花と子星はどのように商工会を改革するか、どうすれば「恩を売る」ことが出来るのかについて話していた
そこに途中参加したのは翔景だった
会話を進める中、より具体的な案を次回の勉強会で発表するという流れで解散となった

途中から商工会の改革の勉強会へ参加した翔景ですが、参加へ至るまでの行動がとても面白かったです

これは、御史台だからの行動なのか、翔景の元々の性格なのかとても気になる所です

さて前回よくわからなかった首都の商工会についてですが、首都での出店の条件は2つしかないそうです

①親の後を継ぐ 
②弟子の独り立ち

そんな厳しい首都への出店

運河の建設で物流が良くなるから今の制度はそのうち壊れる
けれど、それを少し早めることで「恩を売る」事が出来るのではないか?

と言うのが商工会の改革ということらしいです

子星が「恩を売る」ことについて

「(前略)相手を怒らせてはいけませんよ(中略)ちなみに、『親切にしてくれてありがとう』で終わってしまう話にしてもいけませんよ(後略)」

茉莉花官吏伝14 p9

と発言しています

すごく難しい塩梅です

第一章

工部の書類に不備がありその後始末として安州へ行くことへなった茉莉花
工部の同期に視察時の話を聞くと、呪いの森の話を耳にする
呪いによって視察の書類に不備があったことを知り、一応気を付けるためお札を貰いにいくことにした
その道中、花市の時に知り合った商人と会い、塩と魔よけのお札を貰う

今回の巻で茉莉花と珀陽のお忍びお部屋デートはこの章だけでした

なのに二人の話題になったのは呪いの話

「利用できたらいいよね。呪いと幽霊」

茉莉花官吏伝14 p38

そんな言葉から始まる怒涛の珀陽ワールド

珀陽の話を聞いていると、呪いも幽霊もぜんぜん怖くなくなるから不思議です

今回出番が少ないながらも出てきた商人

この商人は茉莉花の娘役の衣装の布地を持ってきた商人です

今回は茉莉花が視察へ行くと聞き、たまたま会った茉莉花へ塩とお札を渡します

賄賂になるといけないと少量でも金銭を払う茉莉花に苦笑いの商人

でも彼の本当の目的は別の所にあったようです

それは後々明かされますが、わかってから読み返しても
流石にそれはわからないなぁ
と思ってしまいました

第二章

安州へ向かった茉莉花は調査へ協力してもらう為、州牧の趣味をリサーチしてから挑みました
ですが、ちょうどその時に州牧の大切な椀がなくなる事件が発生していました
事件の話を聞き、無事解決した茉莉花は州牧から大変感謝されます
そのおかげか州牧や州牧補佐を伴った大規模な現場視察へと赴くことになりました
その際、州牧が賄賂を貰って豪遊しているのではと疑問に思い、調べることに

今回の章は州牧の賄賂についてと運河についての調査をするお話です

この章で茉莉花は3つの人助けをします

①州牧の椀探し
②妓楼のネズミ探し
③瑞北の商工会長のお願い

ただの人助けだったはずの出来事が1つ1つ積み重なり、大きな事件をとらえることが出来そうなくらい情報を集めます

ですが現時点では報告書に書けないことをしたくらいの認識です

③つ目の商工会長を助ける時に今回の題名にもなっている「壺中の金影」について出てきます

「壺中の金影」は茉莉花が③つ目の手助けをする際に考えた作戦名なのですが、作戦内容は強烈です

にもかかわらず、
この程度の脅しで大丈夫か
自身は悪事には向いていない
と考える文章が出てきます

今回のお話の中で『茉莉花は善良』という言葉がいろいろな人の口にあがりますが、善良の定義ってなんだっけ?と思える内容でした

さて、ところ変わり珀陽と大虎のやり取りが数ページ出てきます

主になぜただの尻拭いに茉莉花をわざわざ行かせたのかという話です

珀陽は茉莉花のへのご褒美のためにこの視察へ行かせたと言います

そこには茉莉花が官吏になったキッカケにありました

茉莉花は、困っている人を助けられるような文官でありたいと思っている人物だ。(中略)人々の小さな幸せを守るという仕事に関われたら心が癒されるだろう。

茉莉花官吏伝14 p127

そんなに茉莉花のことを考えていたのか!と珀陽の心中に感動したのも束の間、
次の行で口を開けば

「人助けをすると恩の押し売りができる。(後略)」

茉莉花官吏伝14 p127

と発言

大虎と一緒に引きました

第三章

運河工事をする際に工部案では移住を迫られる村を視察するため、近くの慈台という街に滞在していると翔景を発見する
州牧が賄賂を貰っている話をそれとなく翔景へ伝えると、翔景は御史台の仕事で州牧と州牧補佐の密告があったことを話した
茉莉花は翔景に付けられた護衛という名の監視役を引き離し翔景の調査を助けようとしたが、護衛二人の反応から一緒に行動した方が良いと感じ、二人で一緒に村の視察へ行くことにした

やっと今回の視察の目的である村へ向かいます

今回の視察で周るのは3つの村

運河工事のために全部又は一部の村人は移住をしなければならない村で、その内1つの村が呪いの森の奥にある

始めの方から呪いの森の話が出ていたので、何かすごいことが起こるのかと思いましたが、そんなことはありませんでした

その代わり問題があったのは森の奥です

問題があると判断した茉莉花と翔景の行動は早く、誰にも気づかれないように皇帝陛下へ禁軍を動かしてほしいと書状をだし、合流したのは天河でした

話し合い、計画を立て、犯罪集団を捕まえるための行動に出ます

第四章

犯罪集団を捕まえるため、翔景や茉莉花は別人になりきり村にいる人たちへと接触した
犯罪者と村人を分けるための仕掛けを準備し、時間をかけて犯罪集団を精神的に追い詰めていく
無事に犯罪集団のみをとらえることに成功し、月長城で珀陽への報告をした

犯罪集団を捕まえ、村の秘密が明らかになり、茉莉花が珀陽へ大まかな報告をするのが今回の章です

犯罪集団を捕まえるための作戦は今回の視察で茉莉花がしていた人助けがベースとなっています

今までの人助けが全てこの時のために用意されていた内容でした

茉莉花の報告時、珀陽も茉莉花を褒め一緒に茉莉花の成長を喜んでいます

ですが、残念ながら今回の出来事を全てオープンにして茉莉花の功績にすることはできないようです

皇帝珀陽の評判を落としたい者に攻撃の材料を渡すことになるため、手柄のほとんどは御史台の翔景へといくようです

素直に納得する茉莉花はまさに「善良」でした

第一章の感想でも少し触れましたが、ここでまた花市の時にあった商人と偶然会います

二人が話している際に
商人が茉莉花に手柄をあげてもらうためにあえて情報を隠し、茉莉花が接触してくるのを待っていたことを知ります

序章で商工会の改革のため「恩を売る」方法に付いて考えていましたが、商人自体が普段から実践していることをやるのは難しそうだと思いました

終章

茉莉花は珀陽への手紙をかく 
内容は今回の報告書へは書けなかった色々な出来事 
その手紙を偶然会った大虎へ預けた 
その道中、首都の商工会長と会い、国外の商人等を呼び雑劇を催すのはどうかと提案し、商工会長から良い返事をもらう 
一方、珀陽は運河建設の会議に首席し、そこで人事の異動が決まった

首都の商工会長と会ったのは偶然なのか、偶然を装ったのかは分かりませんが、よくある気温の話から雑劇の開催についての話の合意まで持っていきます

トントン拍子という言葉がピッタリのスピード感で、その手腕は商人顔負けでしょう

しかも茉莉花の雑劇の提案は役人、特に今まで後宮で女官をしていた茉莉花でないと提案できないものでした

今までの経歴や礼部に居て培った人脈などを駆使して、商工会の改革に奔走するのかなと思います

そんな礼部で頑張ってきた茉莉花ですが、終章の終わりの会議にて部署移動が決まります

茉莉花がなんと御史台へ移動です

しかも御史台から居なくなる翔景の穴埋めという形での移動

皇族やその関係者が多く所属する御史台 

訳あり部署のため、今まで10人分の働きをしていた翔景の代わりになるそうですが、商工会の改革と御史台の仕事を並行して行えるのでしょうか

次巻はとても慌ただしくなりそうです

ここまで読んでいただきありがとうございました

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この記事を書いた人

シンプルライフに興味がある三児の母
片付けのこと、子どものこと、お金のこと等を備忘録として綴っていきます

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