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【感想】茉莉花官吏伝15ー 珀玉来たりて相照らす
*ネタバレとなる内容が含まれます。
今回は、茉莉花官吏伝15『珀玉来たりて相照らす』の感想です
『茉莉花官吏伝15』について
前回は工部へ移動する翔景の穴埋めという形で御史台へ移動が決まった茉莉花
珀陽からの命である商工会についても進んでいないのに、どんどん周りは進んでいきます
【あらすじ】
御史台へ異動になった茉莉花
教育係に翔景の元部下である蓮舟が付くことになった
蓮舟は自身が翔景の後任になると思っていたため、茉莉花のことは当初から気に食わなかった
そんな二人の関係は茉莉花の歩み寄りにより完全に失敗
茉莉花は自身が悪女になり、勝負という形で終わらせようとするが、途中で殺人事件が起こり蓮舟は捕まってしまう
内容・感想
前回に引き続き、商工会の改革のお話は少しだけです
商人とのやり取り(駆け引き)が何度かありますが、改革案には関係のないものでした
今回のお話は御史台での人間関係がメインです
新しい部署になり、新たなキャラクターが登場します
翔景の元部下で茉莉花の指導役になった詠蓮舟
御史台の武官で元皇族の威雲嵐
茉莉花に悪女の演技指導を乞われた伊麗燕
新しい人物がどう茉莉花と接していくのかも今後楽しみです
挿絵が多い
今回気になったのは茉莉花と珀陽の挿絵が多いことでした
その数なんと8枚中3枚!
全体的に挿絵自体多くなっていますが、いつにも増して二人きりの挿絵が多い
その中でも最後の物は良かったです
互いの指を絡ませて手を繋ぐ挿絵なのですが、二人の距離が普段よりも縮まったように感じました
互いが互いに相手に振り回されている、勝てないと思っている
両想いだと知っているのにそんな駆け引き要らないでしょうとは思うのですが、付き合っていないというだけで背徳的な感じになるんだと知りました
あれ、、、珀陽は後宮に妃がいる…??
・・・背徳的で合っているのかもしれません
御史台の人間関係
皇族や元皇族が多く所属する御史台
官吏を監査している部署のため、他の部署とは事情が異なる
そんな感じで始まる御史台の説明ですが、読み進めてみると今までの部署とは全く違うことを感じます
まずは働いている人達は科挙試験で受かった人以外もいる点です
御史台は陛下直属の部署で官吏を取り締まる部署のため他の官吏と接点がない皇族や元皇族を採用しています
彼らは科挙試験で合格していなくても配属されるようです
仕事は基本的にメモ禁止で、ほかにも空き部屋が各個人の部屋であったり、私物を持ち込んだりと我が道を行く方々多数
そんな中で作る人脈とは・・?
役職が上の者は皆、御史台を経験しているとありましたが、ここで空気の読み方と我の通し方を学ぶのでしょうか?
茉莉花もどんどん腹黒くなり他人を蹴落として地位を築くようになるのか、今後の展開を見守ります
詠蓮舟という文官
今回の主人公と言っても良いくらいよく出てくる詠蓮舟
翔景の元部下で右腕、茉莉花の指導役
他にも肩書がある彼ですが、早々に事件の参考人になり禁軍預かりになります
本書での日数はそれほど経っていないのに彼の境遇はどんどん変わっていくから不思議です
そんな彼ですが、捕まっている時にあるワードを呟きます
『茉莉花官吏伝』
今回の巻の終わり頃に呟くように言われたこの言葉ですが、今後の展開に関係があるのでしょうか?
次巻がとても気になります
次回
今回起きた殺人事件は犯人が捕まることなく次巻へと持ち越しになってしまいました
そしてもちろん前巻から続いている商工会改革の話もまだ序章です
他にも色々と気になる展開が起きている状態ですので、次巻でどれだけお話が進んでくれるのか楽しみです
ネタバレ含む感想
ここからはネタバレを含む感想になります
ご注意ください
本書は序章・終章を含む全6章とあとがきによって構成されています
序章
今回は雑劇での役者が新キャラとして出てきました
途中で茉莉花の悪女演出を助けます
雑劇の演目決めですが、
後宮の妓女が出演する、
煌びやかな品物を使いたい
そうなれば一番の客入りでないといけない
と課題いっぱいで終わった話し合いでした
第一章
毎回良いタイミングで出てくる白楼城のお助け役、春雪
今回は普段より多く春雪が登場し、助言を授けていきます
そんな助言に従い部署に戻り見たのは、一心不乱に筆を動かす蓮舟の姿でした
ブツブツと独り言を言いながら、時に笑ってひたすら文字を書いていく姿はちょっと怖いです
そんな怖い蓮舟をじっと見つめて仲良くなる突破口を見つけたと思ったのに、余計拗れる結果になるとは悲しすぎる
第二章
元御史台である翔景の助言から、部署を二分する状態はいけないと考え、茉莉花は蓮舟に勝負を持ち掛けます
悪女演技で相手をジリジリと詰めていく茉莉花
その演技指導をしてくれたのは序章に出てきた新キャラの役者です
現役の役者でさえ引いてしまうくらいの茉莉花の演技(覚える能力)に注目です
これでトントン拍子に進むかと思われていた御史台内部の問題でしたが、勝負中に事件が発生し、参考人として蓮舟が捕まってしまいました
第三章
茉莉花と雲嵐、そして雲嵐と大虎が自身の立場を元に話す場面がとても印象深かったです
それぞれの立場に立ち、
茉莉花は平民
雲嵐は元皇族
大虎は皇族
として会話をしています
「生きることは『諦める』の積み重ねです。(中略)わたしは女性として生まれた時点で、男性にはなれません。(中略)
茉莉花官吏伝15 p155
「わたしは諦めながら生きていますが、新しい可能性を掴むこともできます」
これは茉莉花と雲嵐の会話で出てきたものです
ポジティブな感じで締めくくられるセリフですが、前にも出てきた『諦める』の雰囲気が力強いものにどんどん変わってきている気がします
いろいろな経験を通して成長していると感じる事ができるセリフでした
雲嵐と大虎との会話では
「(前略)僕たちは上を見たり下を見たりして、今あるものでなんとかやっていくしかないよね」
茉莉花官吏伝15 p160
大虎のセリフですが、自分自身も立ち止まり見直した方が良いと考えさせられる場面でした
視野が狭くなっているかもしれないので、自身の立ち位置を確認することは大事ですよね
第四章
茉莉花の推理が煌めく章でした
ですが、一番の見どころは茉莉花と珀陽の密会だと思います
茉莉花が部屋で本の一節を口に出します
「……どうか貴方の名前を教えてください。恋しいときに名を呼べないなんて、あまりにも悲しいではありませんか」
茉莉花官吏伝15 p220
その言葉を浮気と勘違いして慌てて入室してくる珀陽
思いがけずキュンとする場面となりました
そのあと真面目な話をしたと思いきや、退出時に手を絡ませて
「――私の心はいつも貴方の傍に」
茉莉花官吏伝15 p226
と、先ほどの一節の続きを言ってから退出していく珀陽
この状態なのに二人の関係は現状では絶対に変わらないので生殺しですね
あともう一つ、面白かったところは蓮舟と茉莉花の会話です
茉莉花の推理を蓮舟に伝え、その後殺害の方法について話すのですが、茉莉花が口を開くたびに、茉莉花を悪女であると思っている蓮舟はガクブルしています
この様子を見る限り、二人の勝負は後日ということになりましたが、茉莉花の勝ちでいいと思います
このあと一人になると蓮舟は茉莉花を題材にした物語を考え、その仮名を『茉莉花官吏伝』としました
作中に出てきたタイトル『茉莉花官吏伝』
これはコミックス1巻の最初に出てきたものでしょうか?
こちらの今後の行方も気になります
終章
いろいろと急展開で進んでいたお話に影を落とすような終わり方でした
本書の「珀玉来たりて相照らす」はこの章で友人に茉莉花のことを聞かれた雲嵐が言った言葉でした
自身のことを卑怯者、情けないと思う雲嵐は変わっていくのか
今後、茉莉花との会話などにも注目したいです
ここまで読んでいただき、ありがとうございました