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【感想】茉莉花官吏伝⑦ー恋と嫉妬は虎よりも猛し
〈茉莉花シリーズ〉第七弾
珀陽からの告白を断った茉莉花。一度だけ恋人のように過ごしたいという申し出に渋々了承する。恋人と言われたので、友人へアドバイスを貰いに行きバッチリ決めた茉莉花。デート先の夜市で甘い時間を過ごすうちに自分の気持ちを打ち明けようと決意するが、その時知らない男性が現れて新たな問題に巻き込まれていく。
茉莉花官吏伝 七
恋と嫉妬は虎よりも猛し
感想
告白の返事から語られる今回の話ですが、恋愛面重視かと思いきやまた騒動へ巻き込まれる茉莉花。
今回は赤奏国を挟んだ隣国、叉羅国の男性とのお話になります。
叉羅国の男性、ラーナシュと過ごすうちに彼が善人すぎて善意の塊を押し付けてくるタイプだと気付きますが、後半から見えてくる彼の行動がそれだけではないと語ります。
珀陽に「やられた」「一枚上手」と言わせたラーナシュの手腕。いつも先を知っているように行動する珀陽が、今回は後手へ後手へと回っていくのは面白かったです。
恋愛面では前へ進んだというより、2人が共に並んだくらいの進みでした。
もしかしたら10年後、珀陽が退位するまで全然前には進めないかもしれませんね。
今まで関わった人がたくさん出てきます
官吏を辞めた葦玉霞も出てきます
辞めた時とは違い、とてもポジティブに未来を見据えた発言をしています
人を変えるのは時間ではなく意識の問題だなと思う巻でした
次巻では茉莉花が叉羅国へ行きます。
また単身、国外へ出ていく彼女。
叉羅国でも皓茉莉花の名を歴史に刻んでくるかと思うと楽しみです。
ネタバレ含む感想
*ここからはネタバレ要素あります
春雪との会話
何かあったときに一番に相談するのは同期の春雪。
それは前から変わりませんが、二人の会話のテンポがどんどん良くなっています。
相談があるという茉莉花に、始めは面倒に巻き込まれるのはごめんだ、と断る春雪ですが、短時間ならと渋々付き合います。
「……実は恋愛相談なの」
「ごめん、用事を思い出した」
馬に蹴られたくない思いで速攻逃げようとする春雪と、それを引き止める茉莉花の攻防。
今回は他の人に相談するシーンも良く出てきますが、これほどテンポよく進むのは春雪との会話だけでしょう。
年相応と感じる場面です。
幸せについて
ラーナシュと幸せについて語る場面があります。
幸せな人は心に余裕がある。心に余裕があれば、他人に優しくできる。優しくされた者は、幸せになれるかもしれない。幸せとはそうやって続いていくものなのだ
沢山の幸せを手に入れて満足している茉莉花
その手にした幸せを零すことに怖がり行動できないことに対し、もっと幸せになれとラーナシュは言います
もっと幸せになれ。そしてより多くの人に優しくしろ
もっと幸せになることは、とてもよいことだぞ
自分とは違う幸せのとらえ方について、自身の幸せについて考えなおすキッカケとなります
他人を幸せにしたいなら自分がまず幸せになることとは言いますが、難しいですよね
茉莉花は自分の幸せの形を考えてどう行動していくのかはこの後すぐのお話で分かります。
現状維持
告白されて、断り、デートへ行き、真実を話すことを決意するも邪魔が入る
そんな感じで始まるお話ですが、後半にやっと二人は両想いになります。
やっとだね。おめでとう!と思ったのも束の間、現状維持という状態になってしまいました。
お互いに好き合っている
そう認識しただけで関係性などは一切進展しませんでした。
10代の恋ってこんな感じだっけ?
お互いの年齢だけを考えて疑問符だらけでした。
その代わり、皇太子とその母の太上皇后との仲は良くなります
急に仲良くなっていてビックリしている間にお話は終わってしまいました
お話の始めにチラッと話が出てきて、もう少し波乱な展開があるかと思っていたのですが、さすが元女官
女性の扱いは心得ているということでしょうか?
少し楽しみにしていたので、残念でした。
次回
次は叉羅国でのお話です。
王の証であるコ・イ・ヌールをヴァルマ家の女性へ託して離脱を命じられた茉莉花は上手く任務を全うできるのか
お隣は赤奏国なので、暁月や海成との絡みもあるのかな?と楽しみです。
信仰についての記述が出てきていたので、各家の信仰について展開されていくのではと予想しています。