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廣嶋玲子さんの妖怪の子預かります10『千弥の秋、弥助の冬』の感想
今回は、【妖怪の子預かります】シリーズ10巻、『千弥の秋、弥助の冬』の感想を書いていきます
『千弥の秋、弥助の冬』について
【あらすじ】
千弥の言動に日に日に違和感が強くなっていく弥助。物忘れがひどくなり、過保護も度を越えるようになっていく。医者へ行こうと誘っても頑なに拒否する。そんなある日、預かる子どものことで大喧嘩をしてしまう。
内容
千弥の物忘れはどんどん酷くなっていた
気付かれないように必死に取り繕う千弥でしたが、記憶が日に日になくなっていくのが分かるのか、本人が一番動揺していました
弥助のためにと、あれこれ行動を起こす千弥でしたが弥助の思いとは相いれず、
喧嘩をしたり、不安にさせたり、怒らせたりと様々な感情を弥助にもたらします
色々な人に相談し、力を借り、進んでいく本書
千弥はどのように呪いと向き合うのか、解決するのか、
予想外の展開の数々が続きます
感想
いつの間にか10巻となり、そして弥助が15歳を迎えようとしていました
四季は追いかけていても、歳まで把握しておらず、もうそんな歳に!?とビックリしながら読み始めました
今回は妖怪の子預かりますシリーズ1部の最終巻
千弥に何が起こったのかが、わかる回でした
弥助を救った代償とは?
紅珠から弥助を救うため、一瞬でしたが昔の力を使うため目玉を取り戻した千弥
その代償が徐々に表れていきます
ちょこちょこと前兆が見えていた千弥の物忘れ
弥助との話に齟齬が生じるほどひどくなっていきました
千弥もコレが代償だと気付きますが、どうすることも出来ず、弥助のためにと、もがきます
ですが、時間が経つほど無情にも望まぬ方へと進んでいきます
千弥の葛藤と対策
弥助のこと以外は覚えているので、出来事などは覚えています
ただその話をするときに弥助はいたっけ?と疑問を口にする千弥
その言葉を聞き困惑する弥助と周りの人たち
そんな状態が何度か繰り返されてます
いつか記憶が全て消えても良いようにと、
自身が弥助から離れる場合に備え、いろいろと準備を始める千弥
自身がいなくても体調を崩さないように
お金に困らないように
と、いろいろと手を打ちますが、裏目に出てしまいます
余計に弥助を不安にさせるだけでした
千弥の捜索で友情を実感
弥助とひと悶着あり、家を出て行ってしまった千弥
弥助は現実が受け止めらず呆然としていました
立ち直った弥助は千弥を探すために月夜公に捜索を依頼します
状況を知った弥助にかかわりのある妖怪たちは進んで捜索を始めました
みんなが人間の弥助のために懸命に動く姿に、これまでの弥助との繋がりの深さを感じました
朝から晩まで探す弥助のために久蔵がご飯を持ってくる場面があり、やっぱり仲良しだなと思ったり、深刻なはずなのに友情を実感する箇所が多かったです
次回
感想でも書いたように今回の巻で預かりますシリーズ第一部は終わりとなります
預かりますシリーズ第ニ部となるのは『妖怪の子、育てます』
今後も弥助は奮闘するようです
どのように話が進んでいくのか、とても楽しみです
ネタバレ含む感想
ここからはネタバレを含む感想になります
ご注意ください
本書は本編とあとがきがあり、本編は12の章に分かれています
一
前の短編で良い雰囲気になったお二人
付き合い始めの二人の話を切子のストレートな感想を交えて聞きながら、久蔵の話になり、こぼれた千弥の言葉
(前略)…前に切子が久蔵さんの髪を食べた時、弥助はいたっけ?
千弥の秋、弥助の冬 P28
物事は覚えていても弥助だけがポカリとなくなっていく、そんな表現から物語はスタートします
二
売り言葉に買い言葉
心配性な千弥と、もうそんなに幼くないと反論する弥助
二人の喧嘩に勝ち負けも変ですが、今回は千弥の想定通りとなりました
三
千弥がいたら止めているであろう展開ですが、千弥は釣りに夢中になり留守
弥助は問題なく、人魚になり子どもたちの面倒を見ます
人魚になった後の、陸地と水中にいる時の表現がすごく良かったです
四
千弥がほかの子の世話を焼く様子に弥助がヤキモチを焼くのではと予想していましたが、
そんな素振りは一切なく、弥助の成長を感じるお話でした
昔たっだら
千にぃは俺のなのに・・・
と、ベソをかいていたはずなのに、攫ってきたのではと案じるだけでした
そんな世話を焼かれていた女の子ですが、最後に意味深な言葉を残していきます
「(前略)これからきっと、大変なことが起きるから」
千弥の秋、弥助の冬 P108
いったい何があるんですか!?
五
9歳のみおと14歳の弥助が、専門書とにらめっこしながら薬を作ります
このお話、江戸時代がベースだから数え年よね・・・
そんな幼い年齢の子が作るお薬
恐怖しか感じませんが、今回恐怖を感じるのは飲む場面ではなく、作る場面でした
六
始めて千弥が自身に起きている症状について話します
しかもその相手が月夜公(雪耶)だなんて、、、
なんだかんだと二人の友情の深さを感じます
真剣に悩む千弥に対して月夜公の返した答えが、
「(前略)弥助のそばにいたい。それが一番の望みなのじゃろう?
千弥の秋、弥助の冬 P150
(中略)他のことなど望むな。一つの願いを貫け」
直情的な月夜公らしい答えで、千弥の切羽詰まった雰囲気が少しほどけていました
訪ねた時とは打って変わり、晴れやかな気持ちで屋敷を後にした千弥でしたが、
反対に月夜公の方は嫌な予感を感じていました
七
千弥が弥助を投げ飛ばす!?
読んでいてビックリしましたが、弥助は放心状態になっていました
あれだけ過保護だったんだもの、当然よね
動揺しているのは千弥も同じはずなのに、そこからの千弥の行動はとても早かったです
言葉と行動は裏腹で、千弥は家を飛び出していきました
八
旧友との懐かしい再開のはずが、悲しいお願いをした千弥
この為に前巻で細雪丸とのお話があったんですね
細雪丸を呼ぶときに使った細雪丸の歌
二人だけの暗号の様で良かったです
九
弥助はやっと千弥がどういう状態であったか知ります
ここまで長かった
事情を知り、
ただただ嘆く弥助にビシッを現実を突きつける王蜜の君はかっこよかったです
十
弥助との久々の再会に細雪丸はテンションを上げます
困惑する弥助が昔の話を聞き、質問に答えながら心を開き、自身の気持ちを語るのはクライマックスへの階段のようにドキドキしました
細雪丸から現在の千弥の状態を聞いていたのに、
自身を傷つけてまで行動する姿は、二人がそれぞれをとても大切に思っていることをより意識させるものでした
十一
正直ここにきて、この展開かと少し落胆してしまいました
もしかしたら前兆があったのかもしれませんが、全然気づきませんでした
蝦蟇の女妖(葦音)は白嵐が産まれた時にお世話になった妖怪です
葦音の”自分で自分を生み直す”能力を貰い、千弥は弥助の元へ帰りたいと望みます
この時点で弥助のことは一切覚えてないのに健気ですよね
十二
やっと弥助の元に戻った千弥
赤子の千弥を見て、激しく動揺する月夜公は、とても良かったです
最後のページの言葉が、あとがきで話題に上がっています
このために今までがあったのかと、より深く納得する終わり方でした
次巻は妖怪の子預かります第2シーズンの始まりです
どのように千弥が変わり、弥助と関わっていくのかとても楽しみです