【感想】茉莉花官吏伝13―十年飛ばず鳴かず

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今回は、茉莉花官吏伝13『十年飛ばず鳴かず』の感想です

作品名:茉莉花官吏伝13
十年飛ばず鳴かず
著作:石田リンネ
出版社:株式会社KADOKAWA
発行日:2022年10月15日

目次

『茉莉花官吏伝13』について

【あらすじ】
山のように積まれた茉莉花への釣書
半月あればお見合いを回避する手段があるという茉莉花に、3人の見合い相手を珀陽によって選ばれた
もちろんお見合いとは別に、花市の花娘役をするという大役も任され、仕事に稽古に見合いにと大忙しの日々を送る
珀陽からは今回の事で一石五鳥を狙うと言われ戸惑いながらも今できることを着々と進めていく

内容

始まりは茉莉花のお見合いに関することからでした

珀陽と秘密の恋をしている茉莉花ですが、それを理由にお見合いを断れる訳もなく、半月あれば全ての見合いを回避できるという茉莉花に3人の見合い相手が珀陽から紹介されます

それと並行して半月後に城下町で行われる花市と言うお祭りの花娘役を皇帝推薦でやることになり、舞や琵琶の稽古を始めます

商工会が主導して行われる花市 
そこにある問題点を確認したり、お祭りを良いものにするために人間関係に力を注いだりと稽古以外にも奮闘します

感想

前回、茉莉花にお見合い話が殺到しているというところで終わったので、今回は珀陽が嫉妬したりイジケたりする場面が多くなり恋愛面が進展すると思っていたのに、茉莉花が官吏として成長する内容でした

皓茉莉花という官吏についてみんなに知ってもらう

人前に立つことが苦手だった茉莉花がリーダーシップを発揮し、お祭りでは花娘役という大役を務めます

花娘役とは祈りを捧げる人、舞をする人、楽をひく人、
三人の女性が白虎神獣廟と広場にて舞と楽と祈りを捧げます

茉莉花がやるのは祈りを捧げる花娘役です

花娘役は特殊な馬車に乗り、城下町の人々に手を振り花を撒きまくという注目される一面もあります

今回のことで、陛下から禁色を頂いた女性官吏の皓茉莉花というブランドを定着させるのが目的のようです

女性の官吏を増やすという茉莉花の夢が一歩ずつ、成長と共に進んでいきます

三人とのお見合いと秘密の恋

お祭りの稽古があるからと言って、お見合いを断ることはできず、珀陽に渡された釣書の3人とお見合いをします

もちろん三人とも茉莉花と面識のある人物で、結婚する気がないことを知っています

形だけのお見合いですが、そう見えないように話す内容やお見合い時間に気を使いながら行われました

その他にも、もちろん気になるのは秘密の恋をしている珀陽とのこと

相手に気を揉んだり、痴話喧嘩のようなことをしてみたりと恋愛初心者が頑張ります

完成する脳内マップ

なかなか完成まで近づくことがなかった「城下町づくり」がほぼ終わったみたいです

普段は話さない人たちと関わり、城下町を歩き、歴史などを知り、いろいろな視点を取り入れたことで運用できるまでに完成した茉莉花の城下町

さっそくその城下町を使い作戦を立案します

普段は細かい所までしっかりと計画を立てる茉莉花ですが、実行するのは別の人々ということも考えて作戦を立てていました

花娘役を通して、人を使うことも覚えたようです

今後、脳内の城下町を通して月長城からでも正確な事がわかるようになるのでしょうか

今まで苦労して仕立ててきた分、どんな風に運用されていくのか気になります

友情関係

今までは目立たず流れに身を任せるのが処世術というように生きていた茉莉花でしたが、今回は進んで人間関係を円滑に進めようと頑張ります

特に花娘役の子たちとの絡みでは、進んで声掛けを行ったり、お茶に誘ったり、嫌がらせからも目に見える形で守ったりと頑張ります

相手から誘いを断られたり、強い言葉で非難されたりしますが、笑顔で受け流している茉莉花が強いです

そしてもちろん忘れてはいけない友人の春雪君

今回は活躍します

ポンポンと流れるように行われていく会話がとても面白かったです

次回

ついに茉莉花の城下町づくりがほぼ終わり、今まで見えていなかった問題点が見えてきたようです

お話の終わりは今回でも問題に上がっていた商工会についての話で終わっています

今までは月長城や地方、異国で活躍していた茉莉花が今度は城下町で奔走するのでしょうか

ーなし崩しという形で、商工会という制度を崩壊させよう

茉莉花官吏伝13 p253

珀陽が茉莉花には影ながら手伝ってもらうと話す商工会について、どんなふうに制度が崩壊するのか、他にはどんなことに着手していくのか楽しみです

ネタバレ含む感想

ここからはネタバレを含む感想になります

ご注意ください

本書は序章・終章を含む全6章とあとがきによって構成されています

序章

持ち込まれた大量のお見合い話を前に秘密の恋の相手である珀陽がどう思っているのか不安になっていると、どう断るかを一緒に考えてくれて一安心した茉莉花
お見合いについては半月程時間があれば対処方法があるという茉莉花に、珀陽は花市の花娘役をやってもらうことに決めた

大量の釣書をどうにかできると言った茉莉花に対して訝しみながらも問うことなく、それならばと珀陽は自身の計画を進めていきます

「茉莉花を白楼国の女の子の憧れの存在にする。(後略)」

茉莉花官吏伝13  p16

一石五鳥を狙うという珀陽に対して、圧倒されてしまう茉莉花

二人の距離感が縮まるのを感じると共に、茉莉花というブランド価値を作っていく工程が珀陽の中にはあると思うと面白いです

時を変え場所を変え、子星を両親の代わりとしてお見合いへ臨む茉莉花
その合間に商工会へ顔を出し、城下町のお祭りである花市の『花娘』役としての稽古に励みます
お見合いでは周囲から上手くいかなかったように思われれるように動き、稽古では踊りと楽器の練習や人間関係の構築に努めます
そして『秘密の恋』をしている珀陽との関係も少しずつ考え、自ら動く決意をします
二人だけにわかる合図なども決めました

三人のお見合い相手は、
冬虎・翔景・天河でした

それぞれのお見合いでのやり取りも面白く、冬虎の両親に代わり現れたのは珀陽だったというのも良かったのですが、個人的には翔景との物が一番良かったです

白楼国、皇后派の名門一家「苑」家の当主の次男坊、苑翔景
変な行動をとる翔景ですが、いい所のお坊ちゃんだったのを改めて知りました

そんな翔景との縁談ですが、翔景が両親と親子喧嘩を始めたことで、上手くいかなかったと周りに印象を残しました

その親子喧嘩時に翔景の母が放った一言

「(前略)その年で結婚をしていないなんて恥ずかしい!」

茉莉花官吏伝13 p43

翔景よりも茉莉花の付き添いで来ていた子星がダメージを負ったようです

どこの世も年齢と結婚は切っても切れない仲の様です

さて、話は変わり商工会

今回の茉莉花は商工会に対し売れる恩は売ることにしたようです

陛下を餌に自身の有用性をアピールしていきます

そして一番のメインは花娘役の人たちとの人間関係

今まで流れに身を任せていた茉莉花も、皇帝が見に来るということで半端には出来ず、いろいろを試行錯誤しながら花娘役三人が仲良くなるよう努力しますが、撃沈

「舞も琵琶も下手な人に、まとめ役みたいな顔されたくないんですけれど。(後略)」

茉莉花官吏伝13 p57

そんな風に言われ、自身の言葉を届けるために「自分に価値を持たせる」ことを決意します

『中途半端にする』のではなく『何事も全力で取り組む』ことにした茉莉花

まず初めに行ったのは珀陽との関係構築

(前略)珀陽の本当の気持ちを零してもらえる人でありたい(後略)

茉莉花官吏伝13 p71

本音で言い合える中になりたいと思っている茉莉花は珀陽と『痴話喧嘩みたいなこと』を始めます

それと同時に公私を分けて話が出来るように『二人だけにわかる合図』を作りました

3人と2回目のお見合いをすることになった茉莉花
それぞれから花市に関する報告やアドバイスを聞き、より花娘役への警備の必要性を確認する
一方、稽古の方は回を増すごとに嫌がらせなどが目に付くようになってきていた
そんな中、始まった衣装合わせ
自身の好きな物を自由に選べない他の花娘役を見て、商工会の制度に疑問を持つ茉莉花だった

相手からの申し出で二回目のお見合いをすることになった茉莉花ですが、今回は二人だけということもあり仕事の話ばかりしていました

冬虎には自身の琵琶の助言と、舞と楽を合わせるコツを、
翔景には商工会の関係者が不審な動きをしていないかを、
天河には城下町での花市に関する犯行予告や怪しい動きを教えてもらいました

そして他の花娘役は自分が守らないといけないと決意を固めます

決意を固めますが、肝心の他の花娘役との人間関係は目立った進展はなく、積極的に交流を持つように声かけや嫌がらせから遠ざけるような行動をとっています

それにより少しづつ心を開き始めたのは楽担当の花娘役で琵琶を演奏する帆果温だった

「――強くて優しい人って本当にいるんだ」

茉莉花官吏伝13 p100

もう一人の花娘役とはまだ打ち解けることは出来ていませんが、まずは一人です!

前章で何事も全力で取り組むと決めた茉莉花は花娘役の安全のため春雪を通し子星に頼み事をしていました

頼み事は、
地図に今まで犯罪が起きた場所を起こしてもらうこと

犯罪が起こりやすい場所を避けて、自分たちで身を守ってもらうための行動でしたが、珀陽がこの地図を見て犯罪者目線での言葉を発します

茉莉花の犯罪は手強そうとも述べますが、珀陽が犯罪について語る前にも春雪との会話に完全犯罪についての話が出ています

春雪とは恋愛相談もするくらい仲が良い茉莉花
同じような話題で盛り上がれるくらい珀陽とも気軽に接しられる仲になってきたのかなと思っていましたが、

「(前略)茉莉花は、もっと色々なことを楽しんでもいいと思うなぁ」
(中略)
「真面目にやると楽しむは両立できるよ」

茉莉花官吏伝13 p135

そういう珀陽に対して、その後茉莉花は恋愛に対してのその言葉の意味を知ります

珀陽の反応を見て楽しんだ2人のやり取りは春雪の時とは違う甘さがありました

稽古場にて踊と楽を合わせる練習が始まるが中々上手くいかなかった
少しづつ心開いてきてた楽担当の果温は茉莉花と合わせることでコツを掴み、舞担当の香綺は茉莉花から合わせるための助言を聞き自宅に引っ張りこんで練習する
少しずつ心を開き楽と舞が合うようになってきた二人だったが、嫌がらせが露骨な物へと変わり、本人のみならず家族も巻き込まれるようになった
どうすれば問題が解決するか考えた茉莉花は誘拐を思いつく

冬虎から聞いた助言が役に立ち、花市で舞を担当する周香綺と接点を持つことが出来ました

茉莉花を通じて、果温と香綺の二人は話し合い『花娘』としての完成度を上げていきます

けれど、もちろんソレをよく思わない人達がいるようで、家族が暴力を振るわれたり、本人たちに対する嫌がらせが露骨な物へと変わっていきます

どうしようと悩む茉莉花に珀陽が声をかけます

「茉莉花には力がある。やりたいことがあればやっていいんだよ。(後略)」

茉莉花官吏伝13 p170

そして思いついたのは『誘拐』

誘拐を準備する間の春雪とのやり取りはホントにテンポが良く、読んでいてとても楽しいです

物語がテンポよく転がり始めた今回の章の最後に登場するのはサーラ国の司祭『ラーナシュ』

茉莉花との約束を果たすと言っていますが、一体何をしに来たのでしょう?

花市当日、ギリギリの時間に戻ってきた花娘役たちは無事に白虎神獣廟へ祈りをささげることが出来た
馬車に乗り舞台へ行く移動中、トラブルが発生してしまう
茉莉花は時間を稼ぐため舞を踊り、花市を無事に成功へと導いた
花市が終わるとサーラ国のラーナシュが来たと謁見の間へ呼び出される
ラーナシュは茉莉花のお見合いを聞きつけやってきたらしい

四章は花市前夜から始まります

明日の緊張で眠れない花娘役たちは恋のお話で盛り上がります
・男性は自分に時間をかけてほしいと思っている
・恋は駆け引きが大事

アドバイスを貰ったあと、ばったりと珀陽に遭遇

従者が一緒にいたのですが、珀陽は『合図』を出し茉莉花に激励の言葉を送ります

そして花市当日、白虎神獣廟で舞と楽をささげる時間ギリギリに戻ってきた誘拐された二人は、周りが戸惑っている間に廟へ入り祈りを捧げます

その後は特殊な馬車に乗り花を巻きながら城下町を広場の舞台に向けて進むます

皓茉莉花という人物の顔と名前を知ってもらい「女の子の憧れ」とするために大切なこと

ですが、そんな時に香綺が塗料をぶつけられるというトラブルが発生

茉莉花は花市を成功せるため、果温と力を合わせ時間を稼ぎます

苦手な舞を踊り工夫して催しに見えるように、そして他のことに観客が気を取られないように自身に注目を集めます

無事花市が終わった後、全力を出して挑んだことで『いい経験』以上の気持ちを持てたと語っている姿は良かったです

皓茉莉花という文官も浸透して無事女の子の憧れになったようなお話もあり、とても良かったです

茉莉花が半月あれば自分のお見合い話をどうにかできると言った言葉通り、その言葉を実現させるための相手が来たようです

謁見の間に呼ばれた茉莉花はサーラ国の司祭ラーナシュと対面します

ラーナシュは茉莉花がお見合いをしていることを聞き駆け付けたそうです

茉莉花の目論見通り、結婚で茉莉花を取り込むという考えはラーナシュの登場と立ち回りによってかき消えました

周りが茉莉花との結婚に難色を示すような会話の持って行き方は面白かったです

その後二人きりになった茉莉花とラーナシュは茉莉花の指示通りに動けたかと感想を言い合っています

ただ、二人の話の中に『もう一つの約束』を果たさなく良いのか、という話題になり

「十年後に果たしてもらう一番大事なとっておきのものですから。(後略)」

茉莉花官吏伝13 p231

もう一つの約束ってなんでしたっけ??と疑問になりました

二人のお話の終わりには茉莉花の舞をほめる言葉もあり、茉莉花は全力を尽くした意味はあったと実感します

終章

礼部尚書を通じて冬虎から「友人」として食事に誘われる
前回の一件依頼、周りからは気の毒な女性官吏としてしか見られくなった
冬虎の屋敷で食事し冬虎が退出した後、珀陽が登場する
二人で私的なことを話、茉莉花は珀陽へ何かをしたいという思いから練習した恋の曲を琵琶で奏でる

現在冬虎が使っているお屋敷は元は珀陽が皇子時代に使っていたもので、そこで食事をとることになりました

話の途中に急に冬虎は退席し、入ってきたのは珀陽だった

珀陽とは『合図』を出し合い、私的な会話に花を咲かせます

花市での茉莉花の舞のこと、注目を浴びることへの不安が減った事、そして痴話喧嘩のことも、、、

自身の負けで終わらせようとする珀陽に、琵琶で練習した恋の曲を弾く茉莉花

弾き終えた茉莉花に対し珀陽は真面目な顔をしています

「茉莉花が私を思って弾いてくれた曲だ。音色も、手つきも、表情も、私はなにもかも忘れたくないよ。」

茉莉花官吏伝13 p248

どうやら茉莉花の演奏を覚えておくために時間が必要だったようです

その後は痴話喧嘩の勝ち負け判定について

「(前略)負けてもなにかが変わるわけではない。精々、自分の方がもっと好きなのにと思うだけだから」

茉莉花官吏伝13 p251

そういう珀陽に対し

「――次は負けません」

そう一言返す茉莉花は恋愛に慣れてきたように感じました

そしてそんな甘い空気を置き去りにして話はどんどん進んでいき、城下町をどうしたいか?という質問にたどり着きます

茉莉花が次の仕事は『首都の商工会の改革』かと尋ねると、

「――なし崩しという形で、商工会という制度を崩壊させよう」

茉莉花官吏伝13 p253

珀陽に改革ではなく崩壊まで行かないとダメだと思わせた商工会

今回は出てきた中ではよくありそうな感じの内容でしたが、どうして崩壊させないといけないのか

次回詳しい内容が出るのかなと思います

ここまで読んでいただきありがとうございました

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この記事を書いた人

シンプルライフに興味のある三児の母親
片付けのこと、子どものこと、お金のこと等を備忘録として綴っていきます。

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